予言と未来
雷龍
翌日 愛光は、リホ、ウィン、リー、レイムと共に村を出た。
「ところでさぁ、何で龍族さんは村に住んでないの?」
歩きながら愛光が訊くと、リホが答えてくれる。
「悪魔は龍族を殆ど殺した後に、残った数人を地界へ連れて、実験台に したんだそうです。」
「実験台って……どんな?」
「詳しい事は解りませんが……龍族は、幻獣の中で最も強いと されていたので、彼等が どれくらい魔法に耐えられるか、と言うような実験を していたようです。」
だから、とリホは哀しげに微笑む。
「彼は……そんな酷い実験を生き残って来た人ですから……心を閉ざしてしまったと言うか……。」
「そう、なんだ……。」
思ったより重い話に なってしまい、愛光の声も自然と低くなる。
「だからね、解ってあげて下さい。ウィン達は彼を ひねくれ者のように言いますが、ちゃんと事情が在るんですよ。」
リホは前を歩くウィン達を、少し寂しそうな瞳で見つめた。
「…………?」
愛光は、小首を傾げた。
「リホって……彼と仲良いの?」
「はい。幼馴染みなんです。」
「あ、成程。」
リホが龍族の青年の肩を持つ理由が解り、愛光は頷いた。