予言と未来
護る為に
☆
「……はぁ……。」
額に浮かぶ汗を腕で拭い、ライネスは溜め息を ついた。今 彼は、この前 愛光達が訪ねて来た時にウィンによって壊された扉を、新しく作っている所だ。
空界に季節は無いが、今日は若干 蒸し暑く、釘をトンカチで打つだけで汗が出て来る。それでも見上げれば、上には真っ青な空。
過去の出来事すら消してしまえそうな、綺麗な空。
和やかな気持ちで再び目線を扉に戻し、ライネスは はっと息を飲んだ。
(……悪魔の気配!?)
ばっと後ろを振り返れば、其処にはマントを羽織り、フードを被った男が1人。
「雷龍のライネスで、間違いないな。」
「…………。」
ライネスは無言で立ち上がる。それが、肯定を意味していた。
男がフードを ゆっくりと取る。
ライネスの予想通り、彼の髪と瞳は真っ黒だった。
その男が合図を すると、周りの木々の間から、次々と悪魔が姿を現した。その数は、ざっと50名程。
「……………っ。」
ライネスは ゆっくりと後退る。
(数が……多過ぎる。)
そんなライネスの様子を見て、最初に彼に声を掛けた悪魔は、ふっと笑った。