予言と未来
正直、願いなんて無い。
でも。
(ありきたりだけど……。)
「……私は、皆を護りたい。」
契約の門に入る前に見た、リーヤの傷付いた姿。
契約を させる為に、悪魔を足止めしてくれている、仲間の姿。
「皆が傷付くのを、見たくないんです。」
愛光が そう言うと、イラが笑ったのが解った。
《その単純な願いが、大事なのだよ、アイカ。》
その瞬間、愛光の躰を、暖かな光が包み込んだ。
《其方に“光”を与えよう……空界を、頼む。》
段々 意識が遠くなって行くのを感じる。ゆっくりと目を閉じた愛光の耳に、イラの言葉が入って来る。
《そうだ。最後に1つ。》
(え……何?)
必死に意識を保とうと する愛光の耳に、とんでもない言葉が飛び込んで来る。
《彼を……大事にな。》
(…………え!?)
イラの指す“彼”が誰か、愛光は直ぐに解ってしまった。
記憶に新しい艶やかな金髪が、瞼の裏に浮かぶ。
《彼を救う事が……空界を護る事に、繋がるから……決して、諦めるな。》
そして、愛光の意識は途切れた。