予言と未来



驚いて愛光を見たライネスの瞳を、彼女は睨むように見つめた。



「どうゆうつもり?」


「……意味が解らない。」


「とぼけないで。」



愛光は今度こそ、彼を睨み付けた。



「手を差し伸べてくれている人の手を冷たく振り払うなんて、どうかしてる。」


「……手当が必要なのは、お前達だって同じだろ。」


ライネスの答えに、愛光は ぐっと詰まった。



確かに、先程迄 悪魔と戦っていたリホ達も、僅かだが怪我を している。



「でも、その頭の怪我、酷いわ。」



愛光とライネスの会話に、リホが割って入る。



すると、漸く彼の瞳に、うっすらと感情が浮かんだ。



ライネスは無言で、倒れている悪魔達を顎で示した。



「……全員 殺した。生きている奴なんか居ない……最低だろ。」



掠れた声で、彼は呟いた。



「……10年前、仲間を殺した彼等の行動を見て、最低だと思った。そう思ったからこそ、剣を握り、強くなった。でも……襲い掛かって来る こいつ等に、俺は こいつ等と同じ事を した。だから……こんな最低な俺を、ほっといて欲しいんだ。」


「正当防衛だろ。」



ウィンの言葉に、ライネスは首を横に振る。



「気絶させるだけで、充分だった筈だ。出来た筈だ。でも、出来なかった……復讐する事しか、考えられなかったんだ。」

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