恋愛は他人を中心に廻っているらしい
「・・・」

 そう、知らない足が、ドアにはさまって、閉まることができないでいた。

「・・・。・・・。・・・。」

 無言で渾身の力をふりしぼり、その足を、ドアから、退かそうと、するが、いかせん、相手も、無言で、それを、阻止しているもようである。
 てか、これは、先程のよっぱらいの靴ではないだろうか?

 そうなると、

 十中八苦、あのよっぱらいの靴。

 けれど、先ほどは、蹴っても起きる気配はなかった、はずだが、そう考えながら、そばにあった、傘をすばやく持つ。

 いかせん、自分は生物学的に女。

 相手は、結構、力のある男。
 
 どう、頑張っても、この足をこのドアから外す自信などないし、今、閉めようと必死になっているドアも、開けられてしまう。

 これを、開けてしまったら、めちゃくちゃ、めんどくさい結果が待っているのは、目に見えているのだ。

 身の危険とかではない。
 
 何か、本格的にめんどくさい何かが。

 思い切り、傘を振り下ろした。

 痛いが、我慢してくれと、心中で、謝罪をして。

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