恋愛は他人を中心に廻っているらしい
「っつ!!」
言葉にならない声が聞こえた。
その瞬間、雪花は、早急にドアを閉めようとしたが、やはり、寸前のところで、何かが、はさまって、閉まらない。
「しつこい!!」
「ちょっと、待ってくれないか!」
いきなり大音量の声で、そう、叫んできた。
「いやです」
「ちょっと!もっと、何かないのか!」
「へ?何がですか?
ああ、人の家の前で、酔いつぶれるのは、どうかと思いますが?
それとも、どさくさにまぎれて、人の家に上がりこもうとしているところですか?
ちょっとそれは犯罪なんじゃないです?
てか、不法侵入です」
「そうじゃない。
普通は、『どうしたんですか?』
とか聞くんじゃないのか?それに、脚で動かすとか。
いけないだろうが!」
「いや、あんたに常識とか言われる筋あいなどないし、あんたがどうのこうの言える立場か?今 現在のあんたの行動こそが、常識とかなってないし?」
「ああ、それもそうだな。
じゃなくて、俺は君に、聞きたいことがあるんだ!!」
その言葉に、雪花は眉宇を怪訝によせた。
自分はこの男と面識などあっただろうか?
まあ、同じ階に住んでいるので、通り過ぎた事などは、あるだろうが、けれどここは隣との差が、結構ある。
家との感覚があるのだ。
「裕也はっ!!裕也は!!どうしてっ!!」
いきなりその男は、男の名前を連呼しだした。
「は?」