恋愛は他人を中心に廻っているらしい
 
 雪花はその勢いのまま、前の壁に額が激突し、そのまま倒れた。

「痛った!なっ何?」

 頭をさすりながら、後ろを振り返ると、腰の辺りに男がしがみついている。

 そして

「うっつうわーん!!!!」

 おお泣きし出しやがった。

 お前は何歳だと、言いたいが、

「・・・」

 外と中とを隔てる扉がゆっくりとしまっていく。

 静かに外の空間が遮断されていく。

 広い玄関を支配するのは、男の泣き声。

 タガがはずれたかのように、泣きわめいている。

 いや、まあ、我慢するのはよくないが・・・。

 いつの間にか、男は、人のお腹の上で顔を埋めて泣いている。

 腕はがっちりと、腰にまわして、身じろぎ一つ動かせないほど、力が入っている。

「マジかよ・・・」

 てか、これをどうしろと・・・?。

 
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