The string tied.


初めてのホームルームも終わり、帰る時間になった。

皆一斉に身支度をし始め、教室を出る人もちらほら。


わたしは、真ん前でのんびり鞄の中身を整理している矢樹 啓が気になってしょうがなかった。

何故かは自分でもわからない。ただ、こいつはどんな奴なんだろうと思っていた。



そんなことを考えながら、
筆箱の中身を片付けていたら、不運にも
手を滑らせ消しゴムを落としてしまった。



「あ。」

思わず声が漏れてしまった。


消しゴムは、矢樹 啓の机の横までころころと転がって止まった。


嘘だろ、と心の中で呟いた。

< 6 / 34 >

この作品をシェア

pagetop