私はヴァンパイア

七夜 そいつらには手を出すな

「うっ…」

何だ？

暗くて何も見えない

夜か？

いや…陽の光の臭いがする

朝か


何があったんだっけ

夜会に行って……

それで…

知らない男に刺されたんだな

確か…

「いっ⁈」

右肩に鋭い痛みが走った

何でだ⁈

私の再生能力ではあの位の傷一晩もあれば治るはず！

その時

急に辺りが明るくなった

眩しい…

ドゴッ
「うっ！」

腹におもいっきり蹴りを喰らい、やっと視界がはっきりして来た

「つぅ…」

男が5人

その中に夜会で私を刺したヤツも居る

それと、あれは

「龍、みう！」

男達の後ろに手足を縛られた龍とみうが倒れていた

「やっぱり知り合いか」

ドカッ

男の1人が龍の腹をおもいっきり蹴った

「ぐっ…」

ガシャン

うめき声を上げる龍に絶えられず、
男に反撃しようと立ち上がるが手が鎖で繋がっていて立ち上がれない

クソッ

2人共傷だらけだ

龍は所々何かで切られた跡がある

クソ野郎

ガシャン！

えっ⁈

な、何だ？この鎖切れねぇ

しかも私には自分でも把握しきれない程の能力があって、少し離れている所からでも相手に攻撃する事が出来る能力もあるはず

なぜだ⁈

なぜ能力が発動しねぇ！


「なぜ？って顔だね、ローズ」

‼

右目に眼帯を付けた、凛々しい顔立ちの男が他の男の後ろから出て来た。その男は


「お…兄様……」


３年前にどこかに出かけたきり行方不明のローズの兄ナイト・アルテミスだ

ウソ

どうして

私の人違いだろうか

３年前は眼帯をして無かった


「久しぶりだね。ローズ、龍」

お兄様は私を見下すようにして笑った

昔のお兄様と違う

「あなたは誰？」

この人はお兄様じゃない

「忘れたの？君の実の兄じゃないか」

「違う…お兄様はそんな笑方しない！」

昔のお兄様はいつも、とても優しく笑う

私は何度もその笑顔に救われた


クスクス

「面白い事を言うね。確かにそうだ俺は変わったんだ、あの人のおかげでね」

あの人？

「俺はお前と話している時間は無いんだ。ただ薬の効果を見にきただけでね」

「薬？」

「さっきから能力が使えないんじゃないかい？」

‼

お兄様は顔を背けた私の頬に手をやり、静かに耳打ちした

「あの人の恐ろしさを存分に味わうがいい」

お兄様は男達に何か伝えると去って行った

「お兄様‼」