淡く儚い月に見守られ
第八章『ホテルへの避難』
「とにかく起きてしまったのは仕方ないわ、ほんとあなたの身に何もなくてよかった。それにしてもどうやって杏奈の家やケータイアドレスなんて調べたのかしら」

畑中の疑問の声に遥翔が続く。

「さぁ、漏れているのがもしメアドだけならアドレスを変えてしまえば済むけど、恐らくケータイ番号まで知られているだろうからケータイも変えないとな」

「そうね、番号を変えないといけないわね。すぐにでも変えないと、なるべく早くケータイショップに行きましょう」

「はいそうですね」

早急にケータイショップに行く事を提案する畑中に対し遥翔が一言つぶやくと、更に畑中が続ける。

「この際だからあなたもスマホにしたら、あなたのケータイまだガラケーじゃない？　スマホの方が何かと便利よ」

そんな畑中の声に杏奈はためらっていた。

「でもあたしのケータイまだ充分使えます、変えるにはもったいなくないですか？」

（そっか、杏奈ちゃんはすごく物を大事にする子なんだっけ。そのケータイもけっこう古いよな？　だけど何もそこまで大事にしなくてもいいのに……）

そんな事を考えてしまった遥翔はやさしく杏奈を説得する。
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