淡く儚い月に見守られ
「君が物を大事にするのは知っているよ、そういう性格は悪い事じゃない、むしろ僕は良い事だと思うんだ。でもね、この状況を考えてごらん、今回ばかりは変えざるをえないじゃない、それに見たところそのケータイも充分君の為に働いてくれたと思うよ」

「分かりました、考えてみます」

杏奈のそんな一言にもう一度スマホをすすめる畑中。

「そうよ、杏奈もスマホにすればラインも使えるじゃない?」

「そうですね、とにかくスマホも選択肢の一つに入れてみます。ただガラケーよりも高いのが難点だけど……」

「そんな事ないんじゃない? 今は格安スマホだってあるんだし……」

「でも格安スマホは慣れない人には向かないって聞いた事ありますけど」

「確かにそう聞くわね、でもすぐに慣れるわよ、どうしても不安だったら今はキャリアだってすごく安くなっているわよ」

「確かにそうですけど、大手の格安プランはオンラインでしか申込できないそうじゃないですか?」

「確かにそうね、そういうのは大手も含めてほとんどがオンラインでの申し込みばかりよね、一部を除いて」

「そうですよね、とにかくいろいろ資料を集めて考えてみますね」

「それが良いわね、それよりとにかくホテルに行くわよ。遥翔ほんとにありがとね、この埋め合わせはきっとするわ」

その後杏奈たちは部屋を出るとしっかりと戸締りをする。
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