淡く儚い月に見守られ
「キャンセルするにしても今からじゃ明日の朝にならないと無理ですよね、とにかく横になってみます」

「分かったわ、じゃああたしはこれで帰るから、明日の朝迎えに来るね、ケータイだけは繋がるようにしておいてね」

心配な思いを抱きながらも畑中はその部屋を後にした。畑中はその後すぐに社長の岩崎に連絡をし、今回の事件とその後どのように対応したかを報告する。

「社長夜分に申し訳ありません」

『良いのよ、それより何かあった?』

「杏奈の事なんですがちょっとまずい事になりまして」

その言葉を聞いた岩崎は一体何事かと不安な気持ちにさいなまれていた。

『杏奈がどうしたの?』

「実はストーカーの被害にあってしまったようで、杏奈の留守中何者かに部屋に侵入されたそうです」

『どう言う事それ、どうしてそれが分かったの?』

「帰宅後杏奈が部屋に入った途端知らないアドレスから杏奈のケータイにメールが来たそうです。そこに添付されていた写真を見ると杏奈の部屋のテーブルに置かれたマグカップが映っていたそうです。そのマグカップはもうどこにもないとか、おそらくそのストーカーが持って行ってしまったのではないかと」

『何なのよそれ、杏奈の事近くで見張っていたって事?』
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