淡く儚い月に見守られ
「状況から考えるとそういう事になります」

(困った事になったわね、早く何か手を打たないと……)

『それでどう対処したの? もうあのアパートには住めないでしょう』

「とりあえずホテルに避難し、ケータイも番号を変えるよう指示しました」

『そう、現時点ではそれが最善策かもね。あとは次の家が見つかるまでしばらくはホテル住まいになるだろうからその事をマスコミに嗅ぎつけられないか気を付けないとね、何故自宅に帰らないのかといろいろ詮索されると面倒だから』

「そうですね、充分注意します」

その後岩崎は畑中から遥翔と杏奈の関係について心配事が膨らんでしまう情報を聞いてしまった。

「ですが他にも一つ問題が生じてしまいまして」

『どうしたの問題って、まだ何かあるの?』

岩崎の問い掛けに更に続ける畑中。

「実は杏奈が最初に助けを求めたのは私ではなく遥翔だったんです、その遥翔から私に連絡がありました。それで非難したホテルと言うのが遥翔がいつも使用しているあのホテルだったんです。私が杏奈の家に着いた時にはすでにホテルに連絡していて……」

『そう、杏奈のストーカーの件も心配だけどこれ以上あの二人の距離が縮まってしまうとまずいわね』

その夜杏奈は深夜まで恐怖で眠れず明け方になりようやくうとうとし始めたが、それもつかの間すぐに迎えの来る時間になってしまった。
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