淡く儚い月に見守られ
「杏奈あたし、畑中よ開けて」

部屋の外で呼ぶ声に起こされドアを開けに行く杏奈。ところがゆっくりとドアが開き畑中が見た杏奈の顔はいつもの杏奈の顔ではなかった。

「どうしたのその顔。目の下にはクマが出来ているし何より顔全体が疲れた表情しているじゃない、私寝不足ですって表情が顔全体からにじみ出ている。クマはメイクで隠せるにしてもその表情はどうにもならないわ」

「大丈夫です、あたしやります」

「無理よそんなので良い表情作れる? 今日の仕事は中止、キャンセルよ。取り敢えず急病って事にしておくからあなたは今日一日ここで休んでなさい、分かった?」

「はい分かりました」

がくりと肩を落とし落ち込む杏奈。

その後畑中は関係者に仕事キャンセルの電話を入れ、すぐに謝罪へと向かった。
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