淡く儚い月に見守られ

『内見からの引っ越し』

ちょうどその頃遥翔は杏奈がいるホテルに来ており、ロビーから杏奈のケータイにメールを送っていた。

『杏奈ちゃん夕べ大丈夫だった？　今下に来ているんだ、部屋どこかな？　今日は仕事オフにしたんでしょ』

（えっ遥翔さん来てくれたんだぁ。こんな所に来て大丈夫なのかなぁ？　それに仕事はどうしたんだろう。とにかく返事しないと）

急いで返信メールを打つ杏奈。

「ありがとうございます、夕べ怖くて眠れなかったけど今は大丈夫です。でも畑中さんには仕事になりそうもないからと今日一日仕事をオフにされちゃいました。部屋は５０３号室です」

（やっぱりな、杏奈ちゃん夕べ怖くて眠れなかったんだ。無理もないよな？　あんな事があったんだから……）

『分かった、今から行くね』

その後しばらくすると遥翔が杏奈の下を尋ねてきた。

「杏奈ちゃん僕だよ」

その声に周りに注意しながらゆっくりとドアを開ける杏奈。

「遥翔さんダメじゃないですかここに来たら、誰かに見られたらどうするんですか？」

「大丈夫だって、心配する事ないよ」

「でも誰が見ているかわかんないんですよ、もし誰かに見られて変な誤解されたらどうするんですか？　写真でもとられてマスコミに売られでもしたら大変じゃないですか」
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