淡く儚い月に見守られ
「ほんとだよ、特に公表はしていなかったんだけどいつの間にかばれちゃったね。最近では他のいくつかの施設にも寄付しているんだ。だから貯金なんてほとんどないんだよ」

「すごいですねそこまで出来るなんて。でも少しくらいは貯金もしておいた方が良いんじゃないの？　保険は入っているの？」

「入ってないなぁ？」

「呆れたぁ、ダメよ入っておかなきゃ、この先何があるか分からないんだから……」

「そうだな、今度考えておくよ」

その後遥翔は一目時計を確認した。

「もうこんな時間か、そろそろ行かなきゃ、じゃあね杏奈ちゃん元気出してね」

「はいっありがとうございます。わざわざ来ていただいてありがとうございました」

「そんな気にしないで良いよ、早く元気を出してね」

「ありがとうございます」

遥翔は静かに部屋を後にした。

翌日からは杏奈も仕事に復帰したが、それでも独りの時間が出来ると恐怖感が湧き上がってきてしまい仕事に集中する事が出来なかった。
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