淡く儚い月に見守られ
「なにまた突然笑い出して、君はよく笑う子だなぁ?」

「いえ、あのスーパースターの遥翔とこうして普通に会話していると思うとなんだか嬉しくなっちゃって」

「なんだそんな事? ぼくなんてたいしたことないよ。今の事務所にスカウトしてもらわなかったらただの名もない施設で育った親のいないつまらない男なんだから」

「そんな事ありません。どこか光る所があるからスカウトされたんじゃないですか?」

「そんな事ない、たまたま運が良かっただけだよ。だけどほんと良いなぁ君は彼氏いて、アイドルなんかやっていると彼女いるのバレたら大騒ぎになるからなぁ」

「いないんですか彼女。あっごめんなさいこんな事聞いて。遥翔さんみたいな大スターにこんな事聞いていたとしてもいないって言うしかないですよね」

杏奈の問い掛けに当然だと言いたげな表情で応える遥翔。

「別にいいよ謝らなくて、でも嘘でもなく本当にいないんだ。そりゃそうだよね毎日休みなく働かされて彼女作る暇なんかないよ。でも沢山のファンのみんなの応援のおかげで忙しく働けるわけだからありがたい事ではあるんだけどね。だけどさすがにこれほど休みがないのもねぇ」
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