淡く儚い月に見守られ
「遥翔さんお疲れ様です。今日初めてのCM撮影行ってきました」

『そうか、それでどうだった?』

「慣れない事だらけですごく疲れました」

『そうか、そうだろうな、ところで今どこにいるんだ?』

「仕事が終わって今家にいますけど……」

『なんだ、じゃあこっち来るか? 僕も今日はもう家に帰っているんだ。同じマンションにいるのにお互いメールでやり取りするのも面倒だろ?』

何気なくそう言った遥翔だが、杏奈はその言葉が嬉しくてたまらなかった。

「あたし遥翔さんの部屋に行っても良いんですか?」

『もちろん。それとも突然狼になるんじゃないかって心配か?』

不敵な笑みを浮かべて言う遥翔。

「そんな事ありません、遥翔さんの事を信用していますから。遥翔さんはそんな事をする人じゃありません」

『そうか、じゃあ来ればいいよ。それとも僕がそっちに行こうか?』

「いえあたしが行きます。すぐに行くので待っていてください」

その頃にはすでに杏奈は部屋を出てウキウキしながらエレベーターに乗っており、その後すぐに遥翔の部屋の前に着いた。

初めて遥翔の部屋に来た杏奈はドキドキしながら玄関のチャイムを押すと、その音を聞いた遥翔は慌てて玄関に向かいそっとドアを開け杏奈を向かい入れた。
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