淡く儚い月に見守られ
「早かったな」

「だって初めて遥翔さんが部屋に呼んでくれて嬉しかったんだもん。だから急いできちゃった」

「そんなに急がなくたって僕の部屋は逃げたりしないのに。とにかく上がって」

その声に遥翔の部屋へと足を踏み入れる杏奈、杏奈は初めて憧れの遥翔の部屋に来た事に感激していた。

「おじゃましまぁす。わぁここが遥翔さんの部屋? 案外綺麗にしているんですね」

「まぁね、コーヒーでも飲む?」

「はい、いただきます」

その声を聞きコーヒーを淹れる遥翔。

「それでCM撮影慣れない事だらけで疲れたって?」

「はい、すっごく疲れました」

「でも初めてモデルの仕事をした時もそうだったんじゃないか?」

「確かにそうですけど、元々モデルはあたしのやりたい仕事でしたから」

「杏奈ちゃんは自分がやりたいかやりたくないかで仕事に対するモチベーションが変わっちゃうの?」

「そんな事ありません、もちろんCMの仕事も大事です。ただ疲れ具合が違うと言うか」

「そうだよね、どんな仕事も大事だよね。杏奈ちゃんも分かっていると思うけどモデルになりたいからと言ってもモデルの仕事ばかりする訳にもいかない事だってあるんだよ」

「それは分かっています。現に今でもいろんなお仕事をさせて頂いていますから」

「そうだよね、分かっているよね」
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