淡く儚い月に見守られ
ところがリハーサルを再開したのもつかの間、ついに足を抑えて倒れ込んでしまった遥翔。

「あぁっ痛っ、痛い」

辛そうに足を抑えもがき苦しむ遥翔。

「遥翔どうした！　大丈夫か」

「どうしました、大丈夫ですか遥翔さん」

大勢のスタッフが心配そうに駆け寄る中、マネージャーの五十嵐は突然の出来事に思考が停止してしまい一歩も動けなくなってしまっていた。

呆然と立ちすくむ五十嵐にスタッフの一人が叫びながら声をかける。

「五十嵐ちゃん遥翔が大変な事になっているのに何しているの。あんた遥翔のマネージャーでしょ、こんな時にしっかりしないでどうすんの！」

その声に我に返ると慌てて遥翔に駆け寄る五十嵐。

「どうしたの遥翔、どこが痛いの。足？　足が痛いの、待ってすぐ救急車来るから、誰か救急車呼んで早く」

そして自らも救急車を呼ぼうとスマートフォンを操作するが、気が動転してしまっている五十嵐には手が震え上手くスマホのボタンが押せずにいた。
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