淡く儚い月に見守られ
他にもこれからオーディションを受ける若いタレントたちが多数いるためそのタレントたちの邪魔にならぬようオーディション会場の隅に行き電話に出る畑中。

「はい、何でしょうか社長」

『杏奈は今どうしてる?』

「今新作映画のオーディションを受けていてもうすぐ杏奈の順番が来るところですが、どうかなさいましたか?」

『ちょっと大変な事になってしまって』

「なんですか大変な事って、何かありました?」

『遥翔が倒れたのよ、スタジオでライブのリハーサル中に突然膝のあたりを抑えて倒れて救急車で病院に運ばれたって』

あまりに衝撃的な出来事に元マネージャーとして衝撃を受け動揺してしまう畑中。

「えっそれでどうなんですか遥翔の容態は」

『まだわからないわ、今五十嵐さんから連絡があったばかりなの。この事杏奈に黙っている訳にいかないわよね、すぐにわかる事だし後になってなぜ黙っていたんだって事になりかねないわ』

「そうですね。杏奈の事だから大胆な事はしないとは思うけど下手をすれば信頼関係を損なったという事でその後どんな行動を起こすかわからないですね」

『仕方ないわね。オーディションが終わったらこの事実を杏奈に伝えて頂戴』

「分かりました。ところで遥翔大丈夫でしょうか?」

『どうだろう、たいした事なければ良いんだけど』
< 143 / 225 >

この作品をシェア

pagetop