淡く儚い月に見守られ
「リハビリなんかしたって無駄だよ、足の無いアイドルを誰が応援してくれる。もう終わりだ、引退するしかない」

「そんな事ない遥翔さん、一緒にがんばりましょう。あたしもできるだけ来るから」

一生懸命励ます杏奈であったが、その言葉も今の遥翔には通じなかった。

「杏奈ちゃんだって今はそんな事言っているけどそのうちだんだんと離れて行くんだろ」

「何でそんな事言うの？　あたしはずっと遥翔さんのそばにいるよ、だから一緒に頑張りましょう」

涙を流しながら必死に訴える杏奈。

「分かったよ、杏奈ちゃんがそこまで言うなら頑張ってみるよ」

「あの時みたいに呼捨てで良いです。杏奈で」

「分かったよ杏奈。それとさっきはひどい事言ってごめん」

「良いのよ気にしないで」

その後抗がん剤の治療が始まったが、しばらくすると副作用が現れ始めものすごい吐き気に襲われるようになってしまった。

それにより食欲は無くなりやむを得ず水分を点滴することになった。
< 155 / 225 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop