淡く儚い月に見守られ
「それほんとなの? おめでとう。この調子でがんばればもっと動かせられるようになるよきっと」

「そうかな? じゃあ杏奈のためにも頑張らないとな」

「なに言っているの遥翔さんったら、あたしなんかじゃなくて自分のために頑張るんでしょ」

「そうとも言うな? でもどっちにしたって頑張る事には違わないだろ?」

「確かにそうだけど……」

その後面会時間ぎりぎりまで二人で会話を楽しんだが、とうとうその時は訪れた。

寂しそうな表情を浮かべながら遥翔に伝える杏奈。

「遥翔さんもう行かなきゃ」

「なんだよもう帰っちゃうのか?」

「しょうがないよ、もう面会時間終わりだし帰らないと」

「そっかそうだよな、じゃあ気を付けて帰れよ」

そう言う遥翔の表情は寂しそうな顔をしていた。

「うんありがとう、遥翔さんも元気でね」

「ばーか、ここ病院だぞ、元気じゃない人が入院するところだろ」

「そうだったね、確かにそうか、ごめんなさいじゃあ行くね」

そして杏奈は後ろ髪をひかれる思いで遥翔の病室を後にした。
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