淡く儚い月に見守られ
「ではお二人はお付き合いなさっていると言う事でよろしいんですね？」

「そういう関係ではありません。あたしが一方的に好きなだけです！」

「遥翔さんは片足を失ったそうですがそれでも好きな気持ちは変わりませんか？」

一人の記者から言い放たれたこの質問に怒りを覚え、杏奈の口調は更に激しくなっていく。

「あなた方は人をそういう基準でしか見られないんですか？　それって障がいを持った方々に対する差別じゃないんですか？」

杏奈のあまりの剣幕にこの記者は思わず怯んでしまった。

「いえ別にそう言うつもりで言ったんではないのですが確かに差別的発言でした。申し訳ありません」

それでも怒りが収まらない杏奈は更に続ける。

「あたしは遥翔さんが足を失ったからといって嫌いになったりはしません。出来ればこれからも支えていきたいと思います！」

そんな杏奈の発言に更に別の記者が尋ねる。

「それは結婚も視野に入れていると捉えていいのですか？」

「そう捉えて頂いてけっこうです」

更にカメラのフラッシュが激しくなり、杏奈は薄暗い中でのフラッシュに眩しささえ感じた。
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