淡く儚い月に見守られ
「なあんだ、じゃあ僕と同じだね」

そんな言葉とともに颯太はおもむろに左足を見せると、足には遥翔と同じように義足が付いていた。

「颯太もだったのか、どうりで歩き方がぎこちないと思った。でもリハビリ頑張ったんだな、おにいちゃんなんか意気地がないからまだ歩けないぞ!」

遥翔の言葉を聞いた颯太の口からは彼を勇気づける言葉が放たれた。

「僕だって最初はなかなか歩けなかったよ、おにいちゃんだって頑張ればそのうち歩けるようになるよ」

「お前みたいなガキに励まされていちゃあ世話無いな?」

この時遥翔の表情には優しい笑みが浮かんでいた。

(そうだよな? こんな小さな子がここまで歩けるようになったんだ、大人の僕が弱気な事言っていられないよな。もっとがんばらないと)

「僕ガキじゃないもん!」

再び颯太は頬をプクッと膨らませて怒ってみせた。だがその怒る姿がどうしてもかわいく思えて仕方ない遥翔であった。
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