淡く儚い月に見守られ
「ごめんごめんガキじゃないよな、おにいちゃんが悪かったよ。だけどどうしたんだ? 歩けるようになったんならもう退院しても良い頃じゃないか?」

そんな遥翔の問い掛けに突然落ち込んでしまう颯太。

「僕病気が治って一度退院したんだ。だけどまた悪い虫が体に入っちゃって、それでその悪い虫を退治するために入院したばかりなんだ」

「そうか、じゃあ早く治してその悪い虫体から追い出さなきゃな」

この病気がどれだけ大変な病気か知っている遥翔はそれしか言う事が出来なかった。

この時病室の壁を見た颯太は不思議そうに尋ねる。

「おにいちゃんあの写真なぁに? 何も写ってないよ」

壁一面に張ってある写真を見て颯太が不思議そうに首を傾げながら尋ねた。

「あぁそれか? よぉく見てごらんきれいなのが写っているから」

颯太は良く目を凝らしてみてみると、それは杏奈が撮ってきたあの写真だった。

「あぁっお月様が写ってる、何だかきれいなお月様だなぁ? それにこんなに大きく写っているのもある」
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