淡く儚い月に見守られ
「そうだお月様の写真だ。おにいちゃんそこに写っているような昼間の青空に浮かぶうっすら白く輝くお月様がすごく好きなんだ。何か儚く見えてきれいだろ? 前におにいちゃんの大切な人にこういう月が好きだって話した事があって、そしたらわざわざ写真に撮って持ってきてくれたんだ」

「それでここに張ってくれたの?」

「そうなんだ」

「その人やさしいんだね」

杏奈の話になると自然と笑顔になる遥翔。

「あぁやさしいよ、でもやさしいだけじゃないぞ! やさしくてすごく良い子なんだ。それにめちゃくちゃかわいいしな」

ここで颯太は不思議そうな表情を浮かべ、首を傾げながら一つの疑問を遥翔に投げかける。

「でもさぁ、お月様って夜にならなきゃ見えないんじゃないの?」

「それがなぁ颯太、そうでもないんだ。お月様ってのは明るい時でも見えるんだよ。今度よぉくお空を見てごらん、そうだな? よく晴れた日のお日様が出ているお空と反対のお空を見ると見られると思うぞ! 本物はすっごくきれいだから」

「そうなんだわかった、今度みてみるね」

そこへ颯太の両親が遥翔の病室まで探しにやってきた。
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