淡く儚い月に見守られ
「はい、この病気はあの子くらいの年齢では非常に珍しいそうです。その為に気付くのが遅れてしまい結果的に足を切断しなければいけなくなってしまいました。それで治ればよかったのですが先日肺への転移が見つかってしまったんです」

「それで今回入院という事に?」

「そうです、肺への転移は近く手術で取り除く予定なんですがそれもすべて取り除けるとは限りません。それに肺に転移が見つかったという事はこの先他にも転移が見つかるかもしれません。そうなってしまうとあの子はもう後どのくらい生きられるか」

うつむき悔しさをにじませる父親に対して遥翔は何も言えなくなってしまい、それは自分にも起こりうる事なんだと痛感していた。

「遥翔さんのような有名な方に大変言いにくいのですがここで知り合ったのも何かの縁です、これからもあの子と仲良くしてあげて頂けませんか?」

「もちろんです、もうとっくに僕と颯太君は友達ですよ」

「ありがとうございます」

深々と頭を下げる父親。その瞳には涙を潤ませていた。

「頭をあげてください、僕も友達が出来て嬉しいんですから」
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