淡く儚い月に見守られ
「お見舞ここに置いておくわね」

「ありがとうございます。それにお見舞いまで頂いてしまって」

「何言っているの、礼を言わなきゃいけないのはこちらの方よ、あなたなんでしょ今までうちに匿名で寄付してくれていたの」

「何の事ですか?」

「とぼけなくても良いわ、報道でばれているんだから」

「それもそうですね、そうです僕が寄付しました。でも気にしないでください、今まで育ててくれたお礼ですから」

「ありがとね、あのお金のおかげで厳しかった経営もずいぶん助かったわ、ほんとにありがとう。でも充分頂いたからもう良いわ」

「迷惑でした?」

「とんでもないほんと凄い助かったのよ、あなたにはほんとに感謝しているわ。でもあなたもこんな病気になってしまってこれから大変でしょ?」

「わかりました、すみません気を遣わせてしまって」

「何言っているのよ、別に気なんか使っていないわ。それよりさっきの方杏奈さんて言ったかしら? いつもお見舞いに来てくれているの?」

「はいほぼ毎日、僕なんかのためにありがたい事です。ただ彼女には申し訳ないことをしてしまいました。なぜ杏奈は僕なんかのためにせっかくの主演映画を棒に振ってしまったのか」
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