淡く儚い月に見守られ
ところがしばらくして杏奈がふと颯太の方に目を向けると、落ち込んだ表情をしている颯太に気が付いた。

「どうしたの颯太君なんか暗いよ、悩み事でもあるの?」

その声に遥翔も続く。

「なんだどうした颯太、何かあるなら言ってみな」

二人の問いかけに颯太はそっと胸の内を語り始めた。

「おにいちゃん、ぼくもうすぐ手術受けるんだ。それが終わったら完全に悪い虫を追い出すためのおくすり打つんだって。パパやママは大丈夫って言っているけど僕知っているんだ、この前の時も大丈夫って言っていたのにすごい苦しかった。きっとまた今度もそうなるんだ、いやだなぁ?」

そんな颯太をやさしい語り口で励ます遥翔。

「颯太、颯太は男の子だろ、今からそんな泣き言言っていてどうする? 辛い治療に耐えて体から悪い虫を追い出すんだろ、だったらがんばらなきゃ」

「でも僕もうこれ以上辛い思いしたくないよ。それに手術するのも怖いんだ」

そんな颯太に対し杏奈も励ましの声をかける。
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