淡く儚い月に見守られ
「えっそうなの? おめでとう遥翔さん歩けるようになるまであともう少しね。これからもその調子で頑張って、きっと歩けるようになるから。歩けるようになったら退院出来るんでしょ? あともう少しねがんばって」

「ありがとうがんばるよ、颯太に負けていられねぇからな」

遥翔の一言にふと思いを馳せると一言つぶやく杏奈。

「颯太君がんばっているかなぁ?」

「がんばっているよきっと、だから僕も負けずにがんばらないと」

「そうね、がんばりましょう」

その後ある事を思いついた遥翔は杏奈にその事をお願いする。

「そうだ杏奈、今度僕を小児病棟まで連れて行ってくれないか? 颯太に立てるようになった事を知らせてあげたいんだ。だからお前も負けるなって」

この時の遥翔の笑顔は希望に満ちあふれていた。

そんな遥翔に杏奈も笑顔で返すが一つの懸念も示した。

「そうね今度行きましょう、あたしが車いす押すわ。でも突然行って大丈夫かな? 遥翔さんが行ったら病棟中大騒ぎになるんじゃない?」

「確かにそうかもしれないけど、そうなったら即席の握手会でもサイン会でもなんでもしたらいいよ」



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