淡く儚い月に見守られ
「でもそれだと遥翔さんも疲れてしまうんじゃない? とにかくその辺はまた考えてみましょう」

「そうだな? そう言えば杏奈、五十嵐さんどうしている? 最近あまり来ないんだ」

「五十嵐さんも忙しいみたいだからね、あまり時間が取れないみたい。でもいつも心配してるよ」

「そうかじゃあ仕方ないよな。だけど僕はいろんな人に心配かけているんだよなぁ?」

落ち込む遥翔に対しやさしい語り口で励ます杏奈。

「仕方ないよ病気なんだから、遥翔さんは気にする事ないわ」

「ありがとう、そう言ってくれると少しは気が楽だよ」

その時杏奈は時計をちらりと確認した。

「ごめんなさい、あたし今日はそろそろ帰らないと」

この言葉を聞いた途端に遥翔は心なしか寂しそうな表情を浮かべた。

「なんだよ、さっき来たばかりじゃないか」

「ごめんなさい遥翔さん、仕事の合間に抜けて来たからあまり時間がないのよ」

「そうかいつも悪いな。あまり忙しかったら無理に来なくても良いんだからな」

「分かった、でも大丈夫だから気にしないで。じゃあもう行きますね、どうか元気でね」

そう言って杏奈は病院を後にした。
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