淡く儚い月に見守られ
ところがその翌日、遥翔は衝撃の事実を突き付けられることになる。

この日両親のいない遥翔は代わりに事務所のマネージャーである五十嵐が病院に呼びだされ、五十嵐と共に辛い現実を言い渡される事となる。

病室にやってきて説明する渡辺医師。

「何ですか先生五十嵐さんまで呼んで、もしかして退院ですか?」

「いえ残念ながらそうではありません」

「だったら何なんです、退院でもないのにどうして五十嵐さんまで呼んだんですか?」

「本日は突然お呼び立てして申し訳ありません。本日マネージャーさんまでお呼びしたのは遥翔さんの病状の事なんですが、遥翔さん気をしっかり持ってね」

このような言い方をする渡辺医師に遥翔は嫌な予感を感じており、そんな遥翔にさらに続ける渡辺医師。

「実は先日行った定期検査の中で肺に影が見つかりまして、非常に残念ですが恐らく転移かと思われます」

このまさかの言葉を耳にした遥翔は目の前が真っ暗になる思いになった。

「うそだろ、足を切断までしたのに転移ってそりゃないだろ。俺颯太みたいに死ぬのか? どうなんだよ先生、やだよ助けてくれよ!」

激しい口調で渡辺医師に詰め寄る遥翔。それに対し渡辺医師はやさしい語り口で遥翔をなだめる。
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