淡く儚い月に見守られ
「遥翔さんの最期の日まで芸能活動を休ませてほしいんです」

「何言っているの、あなた今が一番大事な時なのよ、こんな時に休んだりしたら戻れなくなるわよ、芸能界に戻れずにそのまま引退なんて事になっても良いの?」

「それでもかまいません、遥翔さんの看病に専念したいんです。この事は以前から考えていた事です、もうとっくに覚悟はできています」

この発言に岩崎は杏奈の覚悟を感じた。

「そこまで覚悟が出来ているなら仕方ないわね、良いわ休業を認めてあげる。ただしすでにスケジュールに入っている分はしっかり仕事してね、それは社会人としての最低限のルールよ」

「それはもうわかっています、わがまま言ってすみません。ありがとうございます」

「それとわかっていると思うけど結婚の事ちゃんとご両親の承諾も得ないとダメよ、ご両親の承諾がなければ結婚の話は無しだからね」

この時岩崎は杏奈の両親が結婚を許すはずはないと思っていたが、後にその考えは甘かったと気づくことになる。

「分かりました。今度島に帰ります、畑中さんスケジュール調整お願いします」

「分かったわ」
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