淡く儚い月に見守られ

『決意の帰郷』

数日後、杏奈は久しぶりに決意を持って故郷である島に帰った。最後に島を離れてから一年程しかたっていないにもかかわらず島の風景に懐かしさを感じた杏奈。

「ただいまパパ、ママいる？」

（杏奈の声じゃない、どうしたのかしら突然）

そう思いながらも玄関先まで出迎えた玲子は突然の杏奈の帰郷に何事かと思っていた。

「あら杏奈、どうしたの突然」

「ママ、パパはいる？」

「パパは漁から帰ってきて奥で休んでいるわよ」

「お願い起こしてきて」

そこへ父親の直樹がやって来た。

「杏奈一体どうしたんだ突然帰ってきて」

「あっパパ起きてたの？」

「まあな」

「大事な話があるの」

「なんなんだ一体、突然帰ってきて大事な話って」

この時直樹は玲子同様突然杏奈が帰って来た事に何事かと思っていたが、まさかこの後杏奈の口からあのような言葉が出るなんてこの時は思いもしなかった。
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