淡く儚い月に見守られ
「あたしの記入欄にはもう記入済みなの、証人の欄には社長に書いてもらったわ、後は遥翔さんが書くだけなのよ。ねえお願いします、あたしと結婚してください!」

そこには必要な項目には全て記入してあり、後は遥翔が署名するだけとなっていた。

「まいったよお前の行動力には、当然だがお前を幸せにするなんて言葉僕には言えねぇけどほんとに良いのか?」

「うん大丈夫、遥翔さんと結婚できるだけで、それだけであたし充分幸せだから」

「前にも言ったが施設に寄付してしまったから財産なんてないぞ」

「そんなのどうでも良い、別にお金持ちの遥翔さんと結婚したいわけじゃないもの」

「まったくしょうがねぇな」

その後遥翔は覚束無い字で婚姻届の署名欄に署名すると、晴れて二人は夫婦となった。 

婚姻届を書き終えた遥翔は一つの疑問を杏奈に投げかける。

「なあ杏奈、名前を書いたは良いがハンコは押さなくて良いのか?」

「遥翔さん倒れてからずっと入院しているから印鑑家に置きっぱなしでしょ? だから婚姻届を区役所でもらった時に聞いてみたの、そしたら法律上は必ず印鑑を押す必要ないんだって」

「そうなんだ、知らなかったよ」

その後遥翔は杏奈にある頼みごとをする。
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