淡く儚い月に見守られ
「ありがとうだなんて、遥翔に会えるんだもの来るのは当然よ。それより大丈夫そんな簡単な変装で、帽子にサングラスだけじゃない」

「大丈夫だって、東京にいるときも街を歩く時はこんなもんだよ、下手に変装しすぎても不審者みたいになっちゃうでしょ。それにここあまり人いないじゃん。まさかこの島に僕がいるとはみんな思わないだろうしね」

「確かにそうだけどもしばれたら大変なんじゃないの」

「大丈夫だって言ったろ。バレたらその時はその時だよ、心配ないって」

(ほんとに大丈夫なのかな、こんな時にもしばれたりしたら大変な事になると思うけど?)

遥翔はスマートフォンで時間を確認した。

「ごめん杏奈、もうすぐ出港の時間だ、船に乗らないと」

「そう、じゃあこれでお別れだね。元気でね遥翔、お仕事頑張ってね、帰ったらマネージャーさんとか皆さんにちゃんと謝らなくちゃダメよ」

「分かっているって。杏奈も元気でな、東京に来たら絶対に連絡するんだぞ、分かったな」

その後船が港を離れると遥翔はマネージャーの五十嵐に電話をかけた。

「もしもし五十嵐さん」

『遥翔? 一体今どこにいるの? あちこち探しても見つからないから心配になっちゃったじゃない、電話にも出ないし……』

「ゴメンちょっと南の島まで旅してた。今帰りの船の上なんだ」

旅と聞かされて呆れてしまう五十嵐。
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