淡く儚い月に見守られ
『旅ですって、あなた一体何考えているの、自分が何したか分かっているの? 大勢の人に迷惑をかけたのよ!』

「悪かったよ、だからこうして謝っているだろ! だいたい五十嵐さんだって悪いんだよ、この五年間まともなオフをくれなかったじゃないか」

遥翔の言葉に五十嵐は自らも反省する事になった。

『それはあたしも悪かったと思っている。だけど突然いなくなられるとあたしも困っちゃうのよ。もう二度とこんな事しないでね』

「分かったよ、もうこんな事しないから」

『お願いね、もしもう一度こんな事されたらその時はかばいきれないかもしれないわ』

「だから悪かったって言ってるじゃん。そんな事より島で良い子見つけたよ」

『良い子? どんな子なのその子って』

「モデルになりたいって言う女子校生なんだけど三月に卒業したら上京して就職するそうなんだ」

就職すると聞いてがっくりと肩を落とす五十嵐。

『それじゃダメじゃない。モデルになりたいんでしょ、それなのにどうして就職なんてするの? その子オーディションとか受けた事ないの?』

「その事なんだけどその子自分には素質がないと思って諦めてしまっているみたいなんだ。だから就職する事にしたけど恐らくまだ心の奥底ではモデルになりたいって言う気持ちが拭い切れていない。そんなとこだろう」
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