淡く儚い月に見守られ
『そうなの? あなたの見立てなら間違いないと思うけど、でももったいないわね』

「何言ってるの五十嵐さん、まだ終わったわけじゃないよ」

『それどういう事?』

「その子とアドレス交換したんだ。さっきも言ったようにその子卒業したら上京するそうだから取り敢えず上京したら連絡するように言っておいた。もし連絡が来なかったらその時はこっちから電話すればいいでしょ? それとあとで社長にみてもらうようにその子の写真も撮ってあるしね」

(遥翔がそこまでする子ってそんなに良い子なの?)

そのように思った五十嵐。でもその一方で不安も感じていた。

『あなた抜かりないわね、でもそんな事して大丈夫なの? アドレスの交換をしたって事はその子にあなたのケータイ番号やメールアドレスを教えたって事でしょ、その子の周りの子たちにばらされたりしない? もしそんな事でもされたら大変な事になるわよ』

五十嵐の心配をよそに遥翔は杏奈がそんな事をする訳ないという自信があった。

「何言ってんの五十嵐さん、彼女はそんな事するような子じゃないよ。心配ないって」

『そう? それなら良いんだけど』

五十嵐は一応納得の言葉を口にしたものの、未だその心配は拭い切れずにいる。
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