淡く儚い月に見守られ
「ダメじゃないそんな事したら、みんなすごい探しているよ。心配もしているだろうし」

「でももうデビューしてから五年以上まともなオフをもらってないんだぜ」

「だからってこんな事をしたらそのうち仕事貰えなくなっちゃうよ」

「かもな。でも今日一日だけ、明日には帰るから」

この時杏奈は、呆れた様な表情を浮かべつつも同情の思いが込み上げてきた。

(やっぱり芸能人て大変なんだな? 五年以上も休みをもらってないなんて)

「しょうがないなぁ、分かったわ、心配しないで黙っていてあげるから。まぁどっちにしろあたしが連絡したくても事務所の連絡先が分からないけどね」

「ありがとな。助かるよ」

ほっとする遥翔であったが、直後杏奈の放つ意地悪な一言によって再び不安に駆られていた。

「あっでもそうでもないか、今はSNSっていう方法があるし。あたしツイッターやってるのよねぇ」

「おい脅かすなよ、そんな事しないよな?」

遥翔の言葉に笑顔を浮かべ返す杏奈。
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