淡く儚い月に見守られ
「確かにそうだけどまさかほんとに連絡が来るなんて思ってなかったから。私の事なんか忘れちゃっただろうなって思って」

『だったらなぜ連絡してきたの? それに僕が君の事忘れる訳ないじゃない。それよりごめんね返事が遅くなって』

「いえとんでもないです。それよりありがとうございます覚えていてくれて」

電話で会話をしつつ恐縮する杏奈。

『どういたしまして。それでさぁ、急で悪いんだけど今日杏奈ちゃん時間あるかなぁ?』

「はい、入社式はまだ先なので大丈夫ですけど」

『そう、だったらこれからうちの事務所に来られる?』

「あのサイドネットにですか?」

あの日本でもトップクラスの大手芸能事務所に誘われてしまった杏奈は一体何事かと不思議に思っていた。

『そうそのサイドネット、場所分かる?』

「はい大体の場所は分かると思います。だけど詳しい場所までは良くわからないですね。でも大丈夫です、分からなかったら人に聞きますので」

『そう、じゃあ来てくれる? もしどうしてもわからなかったらメールして、折り返しこっちから電話してナビゲートするから。その方が杏奈ちゃんの電話代かからなくて済むでしょ? 着いたら受付で名前言ってもらえばわかるようにしてあるからね。それと念のため後で事務所の住所をメールしておくから参考にして』
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