淡く儚い月に見守られ
「だからこれからオーディションするんじゃない、それにモデルになるのに生まれ育った土地は関係ないよ。勘違いしないでね、まだこれからオーディションだからそれに受からなきゃモデルの話は無しだよ」

突然の大きなチャンスに不安になる杏奈。

「社長さん、本当にあたしなんかにモデルなんて職業が出来るんでしょうか？　あたしにはどうしてもそう思えませんが」

不安になり岩崎に問い掛ける杏奈。そんな自信のないそぶりを見せる杏奈に対し岩崎は叱咤する。

「まずあたしなんかって言い方やめなさい、そんな風に自分に自信の持てない言い方をしていたらどんな世界に行っても自信なんて持てないわよ。自分に自信の持てない人に良い仕事はできないわ、もっと自分に自信持って。モデルになりたいっていう女の子はたくさんいるの、あなたはそのチャンスをつかんだのよ、その事をまず喜ばないと。とにかくスタジオ押さえてあるの、一度カメラテストしてみましょう」

「はい分かりました、とにかくやってみます。みなさんよろしくお願いします」

この時杏奈の心中は緊張と不安でいっぱいであった。
< 37 / 225 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop