淡く儚い月に見守られ
第三章『ドキドキのオーディション』
スタジオに移動した一行。

スタジオ内に入るとそこにはスタイリストやメイクさんなど一流のスタッフが待ち構えており、もちろんカメラマンも超一流のカメラマンを用意してあったため、その光景にすごく興奮してしまった杏奈。

「すごーい、あたしまだ夢を見ているみたい」

そんな杏奈に対し早速撮影を促す遥翔。

「夢なんかじゃないよ、さぁ早速はじめようか、衣装も何着か用意してあるからね」

「はい」

（凄い本格的じゃない。だけど普通たった一人のためにこんな大掛かりなオーディションしてもらえることなんてないんだろうな？）

そんなことを考えながらも大きな声でスタッフ全員に挨拶をする杏奈。

「皆さん初めまして、上条杏奈と言います。これからよろしくお願いします」

その声にカメラマンが笑顔で応える。

「こっちこそよろしくね。それじゃあ杏奈ちゃんが自己紹介してくれたから僕らも自己紹介しようか、この先も一緒に仕事する事があるかもしれないからね」

その言葉通りカメラマンから順番に自己紹介を始める。

「僕はカメラマンをしている中野と言います。よろしくね」

次は三十代くらいの女性が自己紹介を始めた。

「衣装を担当します結城と言います。よろしくお願いします」

次に自己紹介を始めたのは二十代後半くらいの女性であった。
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