淡く儚い月に見守られ
「ねえ遥翔さん今日お仕事は? 島で初めて会った時はマネージャーさんが休みをくれないって言っていたじゃないですか」

「あぁそれね、あの一件以来マネージャーも考えてくれて結構オフを入れてくれるようになったんだ、その代りマネージャーが大変みたいだけどね。それでそのオフがたまたま今日だったんだ。だから社長に言って急いでオーディションのセッティングをしてもらったんだよ」

「そうなんですか、なんか責任重大って感じです」

「どうして?」

「だってあんなにたくさんの人達があたし一人の為に動いてくれて、それでもしオーディションに落ちたら申し訳ないなって」

小さな声で囁くように言いながら不安な表情をのぞかせる杏奈。

「大丈夫、杏奈ちゃんが心配する必要ないよ、問題ないって。杏奈ちゃんなら受かるよ」

「そうかなぁ?」

「自信持って。社長にも言われたでしょ、自信持つようにって」

「はい、ありがとうございます! そうですよね、もっと自分に自信持たないといけないんですよね」

「ところで杏奈ちゃんさぁ、彼氏とはどうなったの? もし合格したら彼氏がいると何かと面倒だろ。誤解しないでね、彼氏が面倒って言っているわけじゃないんだ、ただもしも後々売れるようになった場合マスコミにかぎつけられるとね」
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