淡く儚い月に見守られ
「そうですか、じゃあ事務所で審査したうえでの判断なんですね。それで岩崎さん、この子ほんとに素質あるんでしょうか? わたしにはどうしてもこの子にモデルになれるような素質があるとは思えないんですが」

この時の直樹には我が子にモデルになれるような素質があるようにはどうしても思えなかった。

対して直樹の質問に答える岩崎であったが、その問いにあまり本人の前では言いたくないと思っていた。

「わたしの見立てではほぼ間違いなく売れるかと、本人の目の前で言うのもなんですがわたしは磨けば光る原石だと思っています。ただこれはどの世界にも言える事だと思いますがこの世界にも絶対と言う言葉はありません。あとは本人の努力次第かと」

(本人の努力次第か、この人最後に逃げ道を作ったな? 結局は最後にこう言っておけば売れなかった時の言い訳になる。でも確かに本人次第には違いないんだけど、さてどうしたものかな? 杏奈の性格はよく知っている、そう簡単には引き下がらないだろうな? そもそもこの子が売れるためにはいくら位かかるんだろうか?)

気になった直樹は聞いてみることにした。
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