淡く儚い月に見守られ
この頃になると普段はマネージャーの畑中から仕事の予定が言い渡されていたため少し疑問に感じながらも社長室に入る杏奈。社長室に入るとそこには畑中も一緒に待ち受けており、杏奈は一体何だろうと用件を尋ねる。

「社長なんでしょうか」

「杏奈喜んで、写真集やるわよ」

「えっあたし写真集出せるんですか?」

「えぇそうよ、あなた頑張っているからね、人気も出て来た事だしこの辺でどーんと良い写真集出してやろうじゃない、売れるわよ。ほんとはもっと準備期間があったほうがいいんだけどね、人気が上がっているこの機を逃す手はないわ!」

「ありがとうございます。あたし頑張ります」

嬉しさのあまり笑顔あふれる表情で礼を言う杏奈。

「写真集のスタッフにはあなたが気兼ねなく撮影に挑めるようにあなたの気心のしれたスタッフを用意してあげるからね」

「はい、ありがとうございます」

ところがその後、杏奈は不安な表情をのぞかせた。

「どうしたの杏奈、せっかく写真集の発売が決まったというのに浮かない顔しているわね」

「社長、その写真集って水着とか着るんですか?」

「水着は嫌?」

「嫌じゃないですけど、でもやっぱり水着を着るとなると恥ずかしいかなって」

「安心して、今回は水着を着る予定はないから。本当は時期的にも水着を着たいところだけどあなたはまだ良いわ。あなたの清楚なイメージだと水着は着ない方が良いもの」

岩崎の言葉を聞いて表情を明るくする杏奈。
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