淡く儚い月に見守られ
「分かったよ、俺に任せときな。でも俺ファンだったんだよなぁ杏奈の、そんな杏奈を襲って良いなんて嬉しい気持ちもあるけどやっぱ複雑だなぁ」

「あんたの気持ちなんかどうでも良いからしっかり仕事して、じゃないと金払わないわよ」

「わかったよやるよ」

ところが哲弥はアパートの住所を見て更に驚いてしまった。

「待てよこの住所埼玉じゃねえか。わざわざ埼玉まで行くのか？」

「少しでも家賃の安い所って事で埼玉のアパートを借りる事になったんじゃない？　何よ不満？　その位良いじゃない。それともあたしの頼みが聞けないって言うの」

「分かったよやればいいんだろ」

「それと分かっていると思うけどポリには充分気を付けるのよ、この事であんたがポリに捕まっても絶対にあたしの名前出さないでね。こっちもあんたの弱みを握っている事忘れるんじゃないわよ」

（亜梨紗の奴あの事まだ覚えていたのか、こりゃしばらくはまだこいつに逆らえないな？）

「あの事だろ分かっているよ。それにしてもテレビでは清純派を通しているお前もこういう所は昔と変わらねえなぁ、もしファンがお前のこういうとこ知ったらどう思うかなぁ」

「そんな事良いから頼まれた事だけやればいいの！」

思わず亜梨紗は声を荒らげてしまった。

「分かったよそんな怖い顔すんなって、相変わらずおまえって怖い女だよな」
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