淡く儚い月に見守られ
『もしもし遥翔? 珍しいじゃない遥翔から電話してくるなんて、一体どうしたの?』

「畑中さん大変なんだ、杏奈ちゃんがまずい事になった」

遥翔から聞かされたそんな言葉に何か言いようのない不安に駆られた畑中。

『どうしたの一体、何まずい事って』

「実は杏奈ちゃんから僕に助けを求める電話があったんだ」

『どういうこと杏奈があなたに助けを求めたって』

「それが出かけた帰りに誰かに後をつけられて慌てて家に駆けこんだら留守中誰かに部屋に侵入されたそうなんだ」

この時畑中は遥翔から知らされた衝撃の事実に気が動転しそうになるのを必死に堪えていた。

『誰かに部屋に入られたって、どうしてわかるの?』

「それが変な奴に後をつけられて杏奈ちゃんが帰った途端知らないアドレスからケータイにメールが来て、そこに添付されていた写真に自分の使っていたマグカップが映っていたそうなんだ。それに後をつけられたのは今日だけじゃないって」

『何よそれ、それで警察には通報したの?』

そんな畑中の問い掛けに対し否定的な言葉を口にする遥翔。
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