空の色は何色か
-1st Peason-

変な夢を見た。

睡眠の過程で見る夢など、目が醒めた時に思い出すと現実にありえない事ばかりだ。

だけど俺が思う変な夢は空を飛んでいたとか、宇宙に漂っていたとか、誰かに殺された筈なのに意識があるとかそんなものではない。

何か1つの物語になっていた。

覚えている範囲で1つの本の場面みたいな微妙にリアリティーがあるそんな夢だ。

病院の様な風景だった気がする。

白い壁に灰色のリノリウム様の廊下、腰の位置に手すりがあった。
その一室に居た気がする。

その前後に何か病院に関連する内容の夢をみた気がするが、思い出そうとすればするほど急速に記憶から消えていく。

目が醒めた直後は全て覚えていた筈なのに、時間が経つともう1/10も思い出せない。

夢はいつもそうだ。

思い出そうとすれば消えてなくなってしまう。

まるで雲の様。

はっきりと白い塊だと分かる雲が時間が経つと散り散りになりそのうちになくなってしまう。

掴もうと手を伸ばしても、手の中に納まることの無い実体の無い様なものなのか。

いや、そんな綺麗なものではなくてきっと今吸っているタバコの煙みたいなものなのかもしれない。
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