嘘吐き
湊と分かれると、目の前にはボロイ一軒家。

あり得ないと思うがこれが僕の家。

玄関をガラっと開け、靴を脱ぎ捨てるとキッチンに向かう。



 「ただいま…」



 「おかえりなさい、どうだったの?学校は」



家に帰ったらまずこうだ。

母のいるキッチンに行き、『ただいま』の挨拶をし

お決まりの『学校どうだった?』質疑。

それをいつも僕は



 「…………まぁまぁ、」



と応答する。

そしてランドセルを部屋の床に投げ捨てて、

勉強机に向かって座って宿題…

というのは御馬鹿な優等生ちゃんがすること。

だが、僕は机の上で真っ黒のノートパソコンを開き

起動させ、オンラインゲームをやり始める。

プラスヘッドフォンをして辺りの雑談、雑音を全て遮る。


ゲームに熱中している間に、過保護の父親が帰ってくる。

その時は必ずヘッドフォンを外して『おかえり』の挨拶をする。

するとまたまたお決まりの『宿題終わった?』だ。

当然、僕は嘘つきだから……



 「はぁ?終わったにきまってんじゃん」



そしてニヤニヤと嗤いながら、ヘッドフォンを再びつけて

自分の世界に入り込む。

僕の両親は意外と優しいから一切怒らない。

だから家では好き放題やっていられる。
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